お疲れサーマント

黄巾族さん向けに書いています

二十一年 三月二十八日

 文章を上手に書きたい、という願望があったとして。

 

 なにか伝えたいことが無くても良い。

 

 近頃はもう、頭の中がぐちゃぐちゃで、机の上もそれを投影したように物がとっちらかっている。

 

 財布

 

 『美味礼賛』の上巻(ブリア=サヴァラン)

 

 『心理学と錬金術』(ユング

 

 青いボールペンが五本

 

 ヒラメ釣りに使ったときの重り(100って書いてある)

 

 上から順番に、全て要るものである。

 

 特に、ヒラメ釣りの重りは、思い入れの強いものであることを、主張しておかなければならない。

 

 当時の私はヒラメ釣りの初心者であったから、右も左も分からぬまま漁船に乗り込んで、極寒の中で若干の後悔に打ちひしがれていた。

 

 右には私を釣りに誘った釣部釣男が座っており、彼の指南により伝説のフィッシャーマンへと成長する筈であったが、釣り糸の結び方だけを丁寧に教えるにとどまった。

 

 左には釣りに青春を捧げたまま大人になったような初老の男性が竿を構えている。

 

 雨に始まり雨に終わった今回の釣りは、歴史的な不漁であったらしい。

 

 左右はイライラが止まらず、貧乏揺すりをはじめ、船の上下運動と相まってある種独得の波動をうみだした。

 

 ハーバード大学の研究によると、この波動が魚を遠ざける原因の一つであるとしていて、釣り糸や重りから海中へと伝播していくものらしい。

 

 とにかく、そういう事情があって釣り糸を結ぶことしか出来ないフィッシャーマンが誕生した。